○庄内町環境基本条例

平成18年12月26日

条例第42号

私たちの庄内町は、霊峰月山や出羽丘陵、そこにはブナやミズナラの天然林をはじめとする広大な森林、県内でも清流を誇る立谷沢川、山形県の母なる川最上川と京田川の河畔に開けた広大な水田が織りなす美しい自然に恵まれている。この自然の豊かな恵みを享受しながら、先人たちのたゆまぬ努力により、水と緑があふれる潤いのあるまちとして、また、歴史と文化の薫り高いまちとして発展してきた。

しかし、現代の大量生産、大量消費、大量廃棄の社会経済活動の進展は、私たちの生活を利便性の高いものにする一方で、生活環境を悪化させ、豊かな自然を失わせつつある。

また、地球温暖化、オゾン層の破壊など自然の自浄能力及び復元能力を超える環境への負荷は、一地域や一国のみならずすべての生命の生存基盤である地球環境にも深刻な影響を及ぼしている。

健康で文化的な生活を営む上で、健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受することは私たちの権利であると同時に、その環境を守り育て将来の世代に引き継いでいくことは、私たちの責務である。

このため、私たちは、環境は限りあるものであることを深く認識し、町民、事業者及び町が相互に協力しあい、環境の保全と創造に関する取組を進め、町の地域資源を活かしながら自然と共生を図り、持続的発展が可能な豊かで美しい庄内町の構築を目指して、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに町民、事業者及び町の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策(以下「環境施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、環境施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の町民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、酸性雨、野生生物の種の減少、森林の減少、その他地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに町民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、町民が健康で安全かつ快適な生活を営むことができる健全で恵み豊かな環境を確保し、その環境を将来の世代に継承できるよう適切に行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、町民、事業者及び町が自らの活動と環境とのかかわりを認識し、自主的かつ積極的に行動することにより、環境への負荷の少ない健全な経済の発展を図りながら、持続的に発展することができる循環型地域社会が構築されるよう適切に行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、地域の特性に応じて多様な生態系が健全に維持されるように、人と自然との豊かな触れ合いを保ちながら、人と自然とが共生できるよう適切に行われなければならない。

4 地球環境保全は、地域の環境が地球環境と深く関わっていることの認識の下に、あらゆる事業活動及び日常生活において、積極的に推進されなければならない。

(町民の責務)

第4条 町民は、前条に定める環境の保全及び創造についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、その日常生活に伴う資源及びエネルギーの有効利用、廃棄物の減量等により環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、町民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に積極的に努めるとともに、町が実施する環境施策に協力する責務を有する。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、及び自然環境を適切に保全するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に積極的に努めるとともに、町が実施する環境施策に協力する責務を有する。

(町の責務)

第6条 町は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に関し、本町の自然的社会的条件に応じた総合的な施策を策定し、及びこれを計画的に実施する責務を有する。

2 町は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に率先して努めるとともに、すべての施策の策定及び実施に当たっては、環境への負荷の低減に努めなければならない。

(施策の基本方針)

第7条 町は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を確保するための施策を策定し、総合的かつ計画的に実施するものとする。

(1) 大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素が良好な状態に保持され、生活環境が保全されること。

(2) 農地、森林、河川等における多様な自然環境が地域の状況に応じて適切に保全され、生物の多様性が確保されること。

(3) 資源の循環的利用、廃棄物の減量及びエネルギーの有効利用を推進することにより、環境への負荷が低減されること。

(4) 自然環境、歴史的文化的資産等の地域の特性が生かされた景観が保全されること。

(5) 地球温暖化の防止、オゾン層の保護等の地球環境の保全が推進されること。

(環境基本計画)

第8条 町長は、環境施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、庄内町環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な目標及び施策の方向

(2) 前号に掲げるもののほか、環境施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 町長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ庄内町環境エネルギー協議会の意見を聴くとともに、町民及び事業者の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。

4 町長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(総合的調整)

第9条 町は、環境施策を実効的かつ体系的に推進するため、その施策又は方針の立案に際し、総合的調整を行うものとする。

(実施状況等の公表)

第10条 町長は、毎年、環境の状況並びに町が講じた環境施策の状況を明らかにした報告書を作成し、これを公表するものとする。

(規制の措置)

第11条 町は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるものとする。

(協定の締結)

第12条 町は、環境の保全上必要があると認めるときは、事業者と環境の保全に関する協定について協議し、その締結に努めるものとする。

(資源の循環的な利用等の推進)

第13条 町は、環境への負荷の低減を図るため、町民及び事業者による廃棄物の適正処理が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、環境への負荷の低減を図るため、廃棄物の減量、資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

3 町は、再生資源その他環境への負荷の低減に資する製品、原材料、役務等の利用が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

(環境保全型農業の推進)

第14条 町は、農地が有する環境の保全及び創造に資する多様な機能を維持するとともに、化学肥料及び農薬の適正な使用等環境への負荷を低減する営農活動を促進するものとする。

(環境教育及び学習の推進)

第15条 町は、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の推進並びに広報活動の充実により、町民及び事業者が環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに、これらの者の環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

(町民等の自発的な活動の促進)

第16条 町は、町民、事業者又はこれらの者で組織する民間の団体(以下「町民等」という。)が自発的に行う緑化活動、環境美化活動、再生資源の回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

(情報の収集及び提供)

第17条 町は、第15条の環境教育及び学習の推進並びに前条の町民等の環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、必要な情報を収集し、これを適切に提供するよう努めるものとする。

(環境の状況調査)

第18条 町は、環境施策の策定に必要な調査を実施するものとする。

(地球環境保全の推進)

第19条 町は、町民等と連携して地球環境保全に資する施策を推進するものとする。

2 町は、町民等及び国、他の地方公共団体その他関係機関と連携し、地球環境保全に関する国際協力を推進するよう努めるものとする。

(町民等との連携体制の整備等)

第20条 町は、環境施策について町民及び事業者の意見を反映させる機会の提供に努めるとともに、町民及び事業者と協力して各種の施策を推進するための連携体制の整備に努めるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第21条 町は、国及び他の地方公共団体と連携し、及び協力して、環境施策の推進に努めるものとする。

(委任)

第22条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

(令和元年12月11日条例第24号)

(施行期日)

1 この条例は、令和2年4月1日から施行する。

庄内町環境基本条例

平成18年12月26日 条例第42号

(令和2年4月1日施行)