○庄内町議会ハラスメント防止条例

令和6年6月5日

条例第29号

議員は、住民の負託を受けた代表者であることから、その負託に応えるために、議員として高い倫理観と品位が求められる。加えて、議員の地位による影響力を不正に利用したハラスメント行為は、断じて許されるものではない。

よって、庄内町議会(以下「議会」という。)は、全ての職員及び議員が個人としての尊厳を尊重され、安全に働くことができる環境を確立することで、職員と議員がその役割を十分発揮し、議員によるハラスメントを未然に防止し、根絶することにより、町民から信頼される議会の実現に資することを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、議員によるハラスメントを未然に防止し、根絶することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) ハラスメント パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメント、妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント、SOGI(ソジ)ハラスメント及びジェンダー・ハラスメントをいう。

(2) パワー・ハラスメント 職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、相手方に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、当該相手方の人格若しくは尊厳を害し、又は当該相手方及び同僚の勤務環境(議員としての活動を行う上での環境を含む。以下この条において同じ。)を害することとなるものをいう。

(3) セクシュアル・ハラスメント 不適切な性的言動又は同意のない性的性質を持つ言動であり、相手方の尊厳を侵害する目的又は効果を持ち、威圧的で、有害な、品位のない、屈辱的で、又は攻撃的な環境を作り出す性的言動をいう。

(4) 妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメント 妊娠したこと、出産したこと若しくは妊娠若しくは出産に起因する症状により勤務(議員としての活動を含む。)をすることができないこと等に対する言動又は妊娠、出産、育児若しくは介護に関する制度若しくは措置の利用に対する言動によりその者の勤務環境を害することとなるものをいう。

(5) SOGI(ソジ)ハラスメント 同性愛者若しくは両性愛者の性的指向又は生まれたときの法律的若しくは社会的に割り当てられた性別とは異なる性自認を持つ人に対し行われる嫌がらせ又は差別的言動をいう。

(6) ジェンダー・ハラスメント 性別に対する固定観念又は役割分担意識に基づいた嫌がらせ又は差別的言動をいう。

(7) 職員 地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する町の職員、同条第3項第1号から第2号まで、第3号、第3号の2及び第5号に規定する特別職に属する町の職員(議員を除く。)又は町から事業委託を受けている団体の職員をいう。

(議長の責務)

第3条 議長は、議員によるハラスメントの防止に努めるとともに、議員によるハラスメントがあると認めるときは、迅速かつ適切に必要な措置を講じなければならない。

2 議長が前項の措置の対象となったときは副議長が、議長及び副議長がともに同項の措置の対象となったときは議会運営委員長が職務を代行する。

(議員の責務)

第4条 議員は、町政に携わる自身の権力を認識し、それを濫用し、相手方の尊厳を傷つける行為を行わないよう細心の注意を払うとともに、常に高い倫理観を持ち、地方自治の本旨に従って、その使命の達成に努めなければならない。

2 議員は、ハラスメントが職員及び議員の尊厳を不当に傷つけ、労働意欲を低下させ、及び勤務環境を害するものであること並びに職員が職務遂行上の対等な立場にあることを自覚し、職員及び議員の人格を尊重した活動をしなければならない。

3 議員は、当該議員によるハラスメントがあると疑われたときは、自ら誠実な態度を持って、疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明確にするよう努めなければならない。

4 議員は、他の議員がハラスメントに当たる言動を行っていると認められる事態に遭遇したときは、当該議員に対し厳に慎むべき旨を指摘するよう努めるとともに、議長に当該事態について報告をしなければならない。

(調査及び研修等)

第5条 議長は、議員によるハラスメントの防止及び根絶を図るため、必要に応じて実態を把握するための調査を実施するとともに、議員に対し必要な研修等を実施しなければならない。

(相談窓口の設置)

第6条 議長は、議員によるハラスメントに関する苦情又は相談(以下この条及び次条において「苦情等」という。)に対応し、苦情等の円滑かつ公正な解決を図るため、ハラスメント相談窓口(次条において「窓口」という。)を置かなければならない。

(相談者に対する対応)

第7条 議長は、窓口に職員又は議員から苦情等があったときは、議会事務局職員の立会いの下、速やかに当該職員又は当該議員から聞き取りを行わなければならない。

2 議長は、前項の規定により当該職員又は当該議員が今後の対応を希望する場合は、当該苦情等を申し立てとして取り扱うものとする。

3 議長は、窓口を利用し、又は調査に協力したことにより、当該職員又は当該議員及び関係者が報復等の不利益を被ることを抑止しなければならない。

(調停)

第8条 議長は、申し立てがあったときは、当事者間の調停の場を設けなければならない。

(第三者委員会の設置)

第9条 議長は、当事者間が納得しないときは、議会運営委員会に諮り、別に定めるところにより専門的知識及び経験を有する者による第三者委員会を直ちに設置し審査しなければならない。ただし、申し立てをした者(以下「申立人」という。)は第三者委員会の終了を求めることができる。

(審査結果の通知及び弁明)

第10条 議長は、審査の結果の報告を受けたときは、申立人及びハラスメントを行ったとする者(以下この条において「被申立人」という。)に対し、その内容を文書で通知するものとする。

2 被申立人は、前項の文書を受け取った日から14日以内に、審査の結果に対する弁明を記載した書面(次条において「弁明書」という。)を議長に提出することができる。

(審査結果の措置及び公表)

第11条 議長は、審査の結果を受け、ハラスメントの事実が確認された議員に対して、全員協議会に諮り、次の各号のいずれかの措置を講ずることができる。

(1) 議員の辞職勧告を行うこと。

(2) 議会の役職の辞任勧告を行うこと。

(3) 一定期間の出席自粛勧告を行うこと。

(4) この条例の規定を遵守させるための警告を行うこと。

(5) 前各号に掲げるもののほか、議長が必要と認める措置を行うこと。

2 議長は、前項の規定により措置を講じたときは、ハラスメントの事実が確認された議員の氏名及びその要旨を庄内町議会広報紙及び庄内町議会ホームページに掲載し公表するものとする。この場合において、前条第2項の規定により弁明書の提出があったときは、当該弁明書も合わせて公表するものとする。

3 調停により和解したときは、ハラスメントの事実が確認された議員の氏名及びその要旨を公表しないものとする。

4 申立人が公表を望まないときは、ハラスメントの事実が確認された議員の氏名及びその要旨を公表しないものとする。

(被害の救済)

第12条 議長は、申立人にハラスメントによる被害が認められる場合は、その被害を救済するよう配慮しなければならない。この場合において、申立人が職員のときは、町長に被害を救済するように要請しなければならない。

(被害者等のプライバシーの保護)

第13条 議員は、議員によるハラスメントの被害者及び関係者のプライバシーの確保に十分配慮し、当該ハラスメントに関し職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。また、その職を退いた後も同様とする。

(委任)

第14条 この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(検討)

2 議会は、この条例の施行後4年を経過した場合において、この条例の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。

庄内町議会ハラスメント防止条例

令和6年6月5日 条例第29号

(令和6年6月5日施行)