第97回収蔵品展 「憧憬 異国への旅」
2016年5月21日(土曜日)から7月15日(金曜日)
入場無料
内藤 秀因「ローゼンベルク城門」(1970年 ドイツ)
内藤秀因の画業を俯瞰してみると1927~1929年(36歳~38歳)のヨーロッパ留学は重要な時期であったといえます。
東京美術学校を中退した内藤秀因は、東京で教鞭をとるかたわら、石井栢亭、石川寅治から絵を学んでいましたが、1927年、トルコの大使館に勤務していた実兄の内藤智秀を頼り、ヨーロッパへと渡ります。
兄の家に数ヶ月身を寄せたのち、1928年にパリへ居を移し、アマン・ジャンやオットン・フリエスに師事します。そしてその年サロン・ドートンヌに出品した「L’hiver de Constantinople(コンスタンティノープルの冬)」が入選、この作品はベルギー大使館の買い上げとなります。また同年、藤田嗣治が会長を務める「仏蘭西日本美術家協会展」など、複数の展覧会に出品しています。
留学での技法や理論の研究・習得とパリでの成功があり、翌1929年に帰国したのち、内藤秀因は洋画家としての地位を固めていきます。
年齢を重ねてもなお西洋への興味は尽きず、1964年に73歳でヨーロッパ諸国(エジプト、ギリシャ、イタリア、スペイン、モナコ、フランス、ドイツ)を3ヶ月旅し、さらに87歳のとき約2週間ギリシャに滞在して、各地の風景を描きました。
本展では1960年代~70年代に描かれた作品を中心に、約50点をご紹介します。また、内藤秀因がはじめての留学について綴った『欧州留学記』も展示しています。作品とあわせてご覧ください。
内藤 秀因「パークモンスリー」(1963年 フランス)
内藤 秀因「ヴェニス」(1963年 イタリア)
内藤 秀因「裏路地」(1979年 ギリシャ)